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古賀仁一郎准教授が株式会社明治との共同研究成果を発表【バイオサイエンス学科】
古賀仁一郎准教授が株式会社明治との共同研究成果を発表【バイオサイエンス学科】

2015年12月4日(金)東京国際フォーラム(東京都千代田区)、2016年1月13日(水)APホール大阪駅前(大阪市北区)、2016年3月25日(金)電気ビルみらいホール&カンファレンス(福岡市中央区)にて行われた株式会社明治の「チョコレートに関する取り組み説明およびチョコレート摂取による健康効果研究成果発表会」で、帝京大学理工学部バイオサイエンス学科教授古賀仁一郎が、同社と本学との共同研究「チョコレート摂取による腸内環境改善効果の探索的研究」の研究成果を発表しました。本研究では、高カカオチョコレートの継続的な摂取による便通改善効果が実証され、その原因はカカオに含まれる機能成分「カカオプロテイン」によることが確認されました。また、世界で初めてカカオプロテインの抽出に成功しました。今回の発表内容は、2016年2月3日(水)、NHK総合「あさイチ」で放映されました。

チョコレートの新規機能性

チョコレートの主原料であるカカオ豆には、種々のポリフェノールが豊富に含まれており、炎症指標と酸化ストレス指標の低下による動脈硬化のリスク低減作用、血圧低下作用など、さまざまな健康効果が確認されています。しかしながら、カカオ由来のタンパク質についてはその機能性がほとんど知られていません。そこで、演者らはカカオ由来タンパク質(カカオプロテイン)の抽出方法を確立し、その性質を調べた結果、カカオプロテインは難消化性タンパク質であることが明らかになりました。これによって、カカオプロテインは小腸では消化吸収されず大腸に届き、便の基材となってかさを増したり、腸内細菌のエサとなって腸内フローラを変えることで、整腸作用を促す結果として便通を改善することが推定されました。
そこで本仮説を証明するためにマウスでの検証を行い、その結果、マウスにカカオプロテインを摂取させた群は、カカオプロテインを摂取させなかったマウスに比べ、有意に糞便量が多いことが確かめられました。次に、ヒトにおける便通改善効果を検証し、カカオプロテインを多く含んでいる高カカオチョコレートを摂取したグループでは、摂取前に比べて排便回数、排便量、便の色が明らかに改善されたのに対して、カカオプロテインを全く含んでいないホワイトチョコレートを摂取したグループでは、いずれの項目においても有意な改善が認められませんでした。この結果は、カカオプロテインがヒトにおいても便通改善効果を有している可能性を示唆しています。なお、本研究は株式会社明治との共同研究です。

当日の様子03
株式会社明治との共同研究成果発表の様子01
当日の様子04
株式会社明治との共同研究成果発表の様子02
当日の様子03
NHK総合テレビ「あさイチ」の取材の様子01
当日の様子04
NHK総合テレビ「あさイチ」の取材の様子02
セミナーの様子01
APホール大阪駅前(大阪市北区)でのセミナーの様子

古賀仁一郎教授紹介

古賀仁一郎准教授

帝京大学理工学部バイオサイエンス学科教授
理学博士。1985年に東京大学農学部農芸化学科卒業後、明治製菓㈱に入社。2009年、同社 食科健康総合研究所 機能研究センター長。2011年、㈱明治 食機能科学研究所 機能性評価研究二部長を経て、2012年11月より帝京大学理工学部バイオサイエンス学科准教授。2017年4月より現職。

■専門分野:食品科学、応用微生物学、植物病理学
■主な研究テーマ:便通改善作用を有するカカオプロテインや動物のがん抑制、植物の病害抵抗性作用などを有するスフィンゴ脂質に関する研究

古賀仁一郎 教授