帝京大学アジア国際感染症制御では、呼吸器感染症を主として、その検査法、発症機序の解明ならびに治療法開発について研究を推進し、アジア地域での感染症制御を目標としています。
血管炎などの難治性炎症性疾患の発症は、感染症によって誘発されるケースもあります。本研究所では、炎症を引き起こす炎症性サイトカインや炎症性細胞の種類に着目しながら、感染症と血管炎発症との関連を解析し、研究をおこなっています。
インフルエンザウイルスなどによって引き起こされる呼吸器感染症の伝搬は、世界的に脅威であり、本研究所では、これまでインフルエンザ重症肺炎に対する治療薬の候補の選出など関する研究を進めています。そのなかで、ロイコマイシンA3(ジョサマイシン)やアジスロマイシンといった既存のマクロライド系抗生物質の抗ウイルス活性についても研究?報告しています。
インフルエンザ重症肺炎に対する治療薬の候補:ロイコマイシンA3(ジョサマイシン)
Sugamata R, et al.Leucomycin A3 (LM-A3), a 16membered macrolide antibiotic, inhibits Influenza A virus infection and disease progression. J Antibiot (Tokyo). 2014 Mar;67(3):213-22. doi: 10.1038/ja.2013.132. Epub 2014 Feb 5.
外国人研究留学生の招致
アジア地域から、外国人留学生を大学院生として受け入れていれ、研究を推進することで、国際共同研究のさらなる発展を目指しています。
日本医療研究開発機構(AMED)
e-ASIA JRPプログラムにより、日本、ベトナム、フィリピンの3ヵ国間での国際連携をもとに、共同の国際研究プロジェクトに参画しています。
【日本科学振興機構さくらサイエンスプラン(SSP)により、アジア各国から短期留学として医師や看護師、薬剤師を招致することで、技術的な意見交換ならびに国際交流を行います。
また、帝京大学に所属する学生、大学院生、研修医を対象に、アジア地域における医療施設での公衆衛生や感染症対策、感染症治療についての実地研修を行っています。
本研究所は英文、和文といろいろな形で研究結果を発表し、研究のさらなる進歩に貢献しています。
帝京大学アジア国際感染症制御研究所では、アジア地域での感染症の研究分野で多数の業績をあげ、2014年より、ベトナム(一部ラオス)およびフィリピンの参加施設の研究?技術の向上をめざし、呼吸器疾患にかかわる感染症を推進しています。現在では、文部科学省?国費留学生(医学研究科)を受け入れ、インフルエンザの劇症化機構に関わる分子機構の解明を進めています。また、帝京大学アジア国際感染症制御研究所外の結 核研究所、北里研究所、国立感染症研究所、国立国際医療研究センター、東京大学医科学研究所の研究者らとともに、国際交流を推進しています。また、アジア諸国との国際交流として、帝京大ADC研さくらサイエンスプロジェクト(TASP)を推進しています。
ベトナムおよびフィリピンの参加施設の研究?技術の向上を目指すための共同研究として位置づけ、以下の3項目の研修を行います。
ベトナム、フィリピンおよびラオスからの参加施設の研究?技術の向上をはかり、共同研究の推進をめざす。研究支援:講師?技術指導は、帝京大学アジア国際感染症制御研究所をはじめ、結核研究所、北里研究所、国立感染症研究所、国立国際医療研究センター、東京大学医科学研究所のトップクラスの研究者?医師?技術スタッフが支援する。
2015年11月16日から12月4日にかけて、JST(科学技術振興機構)の採択事業である「さくらサイエンスプラン」が実施され、ADCがベトナム、フィリピン、ラオスの3ヵ国から7名の研修生を受け入れました。今回の研修では研究者として自国で活躍する7名が来学し、「感染症」と「安全管理」をテーマに、帝京大学医学部附属病院安全管理部での医療安全の講演会、 ラウンド、中央検査部や薬剤部の視察、そして本学研究施設の見学、また最新のウイルスや細菌検出技術の実習体験や授業への参加など、本学の教員や学生と交 流を深めました。また、ADC研と連携している結核研究所(東京都清瀬市)も訪問しました。
帝京大学アジア国際感染症制御研究所