各キャンパスで実施しているFD(ファカルティー?デベロップメント)活動についてご紹介します。授業内容や方法を改善?向上させ、学生の学びの質を向上させるために、組織的な研究?研修を行い、実施しています。
板橋キャンパスでは、学部長自らFD活動を啓蒙したり、合宿形式のワークショップを実施するなど、教職員全員が参加する形のFD活動を実施しています。また、学外から講師を招くなど、常に新しい授業のあり方を研究しています。
医学部では目的に応じた各種FD活動が盛んに行われています。医学教育モデル?コア?カリキュラムの改訂を含む近年の医学教育の進歩?発展や医学教育分野別評価基準日本版を踏まえて、常に新しい授業のあり方を研究しています。教授会などを通して、学部長からFD活動に関する啓蒙を積極的に行い、欠席の場合は理由書を添えた欠席届の提出を義務付けるなど、徹底して取り組んでいます。毎年、医師国家試験の傾向や対策を教員全員で検討する「国家試験ワークショップ」、本学における医学教育の質的向上を目的とし入職5年以内の教員を対象とした「医学教育に関するワークショップ」、さらに授業やカリキュラム改善?学内のgood practice共有などを目的として教員全員が参加する「カリキュラム作成?学生評価などに関するワークショップ」、国内外の医学教育に関する識者による講演や対談に教員全員が参加する「医学教育に関するセミナー」、臨床実習指導者を対象とした「診療参加型臨床実習指導者講習会」、地域医療実習指導者を対象とした「地域医療実習に関する教育ワークショップ」を、講演形式だけでなく双方向?参加型で行っています。これによって教員の教育スキルの向上、アクティブ?ラーニング型授業の導入による学修意欲や学修成果達成度の向上など、目に見える成果が上がっています。
薬学部では、新任も含めてほぼ全員の教授総会メンバー(教授?准教授?講師)が薬学教育者FDワークショップなどを受講し、教育活動の改善を明確に意識するようにしています。特に、学内教員を対象としたワークショップは目的が明確なため、よりよい教育?実習環境の整備に効果を上げています。また、今までに薬学教育者育成のためのFDワークショップを他の大学と3回共催したほか、薬学会、薬学教育協議会、都道府県の薬剤師会などが行う教育者養成ワークショップに受講者として教員を積極的に派遣し、助手以上はほぼ全員がFDワークショップを経験しています。6年制における実務実習は医療現場に勤務する薬剤師との連携が必須ですが、各薬剤師会主催の「認定指導薬剤師養成ワークショップ」へは、専任教員がタスクフォースとして派遣要請され、現場との教育体制の確立を努めています。さらに、このような一連のワークショップにより学んだことを学内に還元するため、学部長、附属病院薬剤部長が共催し、タスクフォース経験者と共に附属2病院(板橋、溝口)の薬剤師と薬学部実務実習担当教員とでワークショップを2回開催し、6年制の病院実習実施に向けたカリキュラム作成の研修を行いました。その他、教育スキルの向上をめざし、外部講師を招いた教育カウンセリングに関する講演会を開催しています。
医療技術学部は、2004年度に視能矯正学科が開設し、2008年度に柔道整復学科が開設するまで学科を増やし、学部の充実化を図ってきました。当初は未完成の学科が多いこともあり学部として横断的なFD活動についての機運が欠如していたため、学部としてのFD活動を見合わせ、各学科におけるFD活動を尊重してきましたが、柔道整復学科が完成年度を迎えた2011年度には、横断的なFD活動を行う機運が高まり、板橋キャンパスにおいて「FD委員会」を設置し、横断的なFD活動を開始しました。その一端として「医療技術学部教育?研究に関するワークショップ」を開催しています。「FD委員会」は定期的に開催されており、学部のFD活動の推進に寄与しています。
八王子キャンパスでは、2011年度から「高等教育開発センター(Center for Teaching and Learning)」としてセンター方式の組織を新設し、そこを中心にFD活動の推進充実を図っています。高等教育開発センターを設置するにあたり、規程を整備し、本規程内においてFD定義、FD活動、FD委員会、FD委員などについて明確化しており、それらに基づき諸FD活動を実施しています。
また、学部学科?研究科ごとにFD委員会を設置し、自組織のニーズや課題に応じた個別のFD活動を行っています。高等教育開発センターは各FD委員会と連携し、必要な情報や活動の場の提供等を行っています。
そのほか、帝京大学高等教育開発センターでは「新任教員研修プログラム」「ブラッシュアッププログラム」「ティーチング?ポートフォリオ研修」といった各種FD研修や、教学改善を支援するための「SoTL(Scholarship of Teaching and Learning)プロジェクト」を実施しています。
帝京大学高等教育開発センターでは、2011年度より「新任教員研修プログラム」を、2012年度より「ティーチング?ポートフォリオ研修」を実施しています。2020年度からは「ブラッシュアッププログラム」を追加し、教学改善のための研修を幅広く実施しています。
新任教員研修
着任5年未満の教員を対象に、教育力の向上をめざして実施しています。
ティーチング?ポートフォリオ研修
自らの教育活動を省察し、大学教員としての専門性を高めると共に継続的に授業改善ができる力を身につけることを目的に実施しています。具体的には「ティーチング?ポートフォリオ」の作成などを通して教育力開発の実現をめざします。参加教員は、FDの理念?具体的な手法を学びながら教育の質の向上に努めています。
ブラッシュアッププログラム
時代の求めに応じて変化する大学授業に対応するため、ICTやアクティブラーニングなどさまざまなテーマの講座を開講しています。参加教員は、自分の授業内容や目的に応じて必要なテーマを選んで参加し、授業改善につながる知識?気づきを獲得し、実際の授業改善につなげます。
教員の授業改善を支援する活動の一環として、2017年度からSoTLプロジェクトを導入しています。SoTLプロジェクトでは、授業改善をめざす教員に対し、計画の立案から実施?分析に至るまで人的および資金的支援を継続して行います。これにより、ひとつひとつの授業の改善を試みるとともに八王子キャンパス全体の授業改善に向けた意識醸成につなげます。
理工学部?医療技術学部柔道整復学科?経済学部地域経済学科から選出された委員で構成される「FD委員会」を設置し、年間活動計画を策定、実施しています。
宇都宮キャンパスの「FD委員会」は理工学部?医療技術学部柔道整復学科?経済学部地域経済学科の各学科長、総合基礎科目主任と各学部各学科から1名ずつの委員で構成し、年間活動計画に従って活動しています。「FDセミナー」は全学の教職員を対象として年1回実施しています。2011年度は外部講師を招き、「質保証に向けての学士力向上ー大学評価の観点からー」について講演会を実施しました。
理工学部では、さらにFD活動を推進すべく、2006年度から学長主導の下「FD推進会議」を設置し、FD活動のレビュー評価を主目的に活動しています。建学の精神の一層の浸透と教育目標の実現のため、2007年度末にMR(Minimum Requirement)の策定をめざし、日本語表現と情報基礎、さらに基礎科目のワーキンググループを設置して全学科間で議論の上、策定を行いました。
2011年度より一部項目を改訂して実施しているアンケート結果から、学生の授業外の自主学修時間が少ないことが問題として挙げられました。学生の学修時間を確保するためには、学生が自主的かつ意欲的に学修に取り組めるよう、さらなる授業方法の改善が必要です。そのために、FD活動の一環として、2012年度からは教員相互に授業見学を行い、授業方法の改善を検討しています。さらにLT開発室との共催も含め「授業改善セミナー」、「FDセミナー」を実施しています。
福岡キャンパスでは、教育の質の向上を図るため、年間を通し、「福岡キャンパスFD委員会」を中心に全学的なFDにかかる取り組みを計画し実施しています。さらに、「自己点検?自己評価委員会」「教務委員会」と連携して活動を進めることで、FD活動の学内共有化を図っています。
FD講習会は、年数回実施をしており、「新任教員対象説明会」「科研費獲得セミナー」「シラバス作成法に関するFD講習会」等があげられます。
教育内容?方法等の改善の工夫?開発を図るために、学科?コース選出により複数回の「公開授業」を行っており、所属学科のみならず、他学科教員の授業展開を参観し、フィードバックを行うことで授業改善につなげています。学生による授業評価アンケート結果の活用としては、PDCAサイクルを実行するために、教員による「改善シート」の作成、提出を行っています。
学生FD委員との懇談会では、学修や学生生活、学修環境等、幅広く学生の意見を聴取し、大学側の体制や取り組みについて説明を行い、学生FD委員にフィードバックを行うこととしています。
また、毎年度、学科教育活動のPDCAを回すために、学科で作成した「課題シート」を基に、「福岡キャンパスFD委員会」と「福岡キャンパス自己点検?自己評価委員会」による「全学合同検討会」において、1年間の教育上の問題点の抽出と改善方策について、全学で検討する機会を設け、FD活動への指針を提示する体制を整えています。