大学時代は国際交流プログラムなどに積極的に参加し、イギリスやスイスなど、海外の病院実習を経験しました。短期間ではありましたが、司法施設で死因究明のための死亡時画像診断を行うなど、日本とは異なる海外の医療に触れ、あらためて診療放射線技師という仕事の重要性を感じることができました。
そして実習が終わった4年次の春ごろから、診療放射線技師になるための本格的な勉強を始めました。診療放射線技師として働くためには国家試験を通過することが必須なので、通常の就職活動と比べると、試験対策に長い期間を要します。朝早くから夜遅くまで勉強することも珍しくなく、モチベーションを保つのに苦労しました。ただ、一緒に励ましあえる友だちがいたこともあり、共に切磋琢磨しながら乗り越えることができました。また、親身になってくださる先生方も多いので、勉強面や就活の面でとても心強かったですね。
就職先の候補としてはメーカーなどもありましたが、その中で医療機関、そして北野病院を志望したのは、医療の現場で患者さまと関わりを持ちたいという思いが強かったからです。北野病院は大阪の中心地という立地から、多くの患者さまと触れ合い、さまざまな症例と向き合いながら診療放射線技師に必要な知識や技能を幅広く身に付けることができます。そして、ゆくゆくはがんの放射線治療にも携わりたいと思っている私にとって、規模が大きく最先端の医療を提供している北野病院はスキルアップが図りやすく、志望してよかったと思っています。
私は現在、MRIを担当しています。MRIは強力な磁場と電波を用いて、断面画像を撮像する装置です。毎日が勉強の日々で、一つの画像を撮像するにしても、よりよい画像を撮るために、どういうポジショニングをしたらいいのか、どのような撮像方法がよいのかなど、求められることが多い仕事です。私がMRIで撮像した画像情報を基に、患者さまの今後の治療方針が決まるので、責任の重さを日々感じています。ただ、そうした中で、患者さまの病気や状態の把握ができるような画像が提供できたときには、とてもやりがいを感じます。今後はより臨床経験を積み、知識を蓄え、患者さまの検査や治療により貢献できるように頑張っていきたいと思います。
大阪の中心地という立地から、さまざまな患者さまがいらっしゃるので、多くの症例に触れることができ、日々学びがあります。やさしい方が多く、困ったことがあったときにはいつも助けていただいています。また、知識や経験が豊富な方ばかりなので、どうしたらよりよい撮影ができるか相談でき、自身のスキルアップにもつながっています。
働き方に関して、自由度が高いと思います。例えば当院では医学研究所を併設していることが大きな特徴であり、希望すれば研究した内容を学会で発表することができます。また、男性の育児休暇を推進するなどプライベートの時間も大切にしていて、ワークライフバランスが取りやすいことも魅力ではないかと思っています。
国家試験勉強に使っていた問題集とノート。取り外しのできるバインダーや付箋を使って、要点をわかりやすくまとめていた。
診療放射線技師という仕事は、患者さまと直接触れ合う時間はそれほど多くありません。しかし、私たちが撮影した画像が患者さまの今後の治療や診断に影響するため、責任の重い仕事だと思っています。ただ、患者さまの病気や痛みの原因、状態の把握ができるような画像が提供できたときにやりがいを感じられます。
撮影方法がフィルムからデジタルデータに移行するなど、診療放射線技師の仕事のやり方も技術の進歩とともに徐々に変化していきました。そうした中でも、知識や経験に基づく技術一つで、撮影できる画像は大きく変わり、それが診断や治療の手助けになります。医療に貢献できる実感と、技術の追究こそが、一番のやりがいだと思います。
勉強時間の確保はとても大切だと思います。限られた時間の中で少しずつ勉強の質を高めていくことを心がけていました。モチベーションを保つことに苦労しましたが、励ましあえる友だちがいたことに本当に助けられました。友だちと食事に行って他愛もない話をすることが、試験勉強の一番の息抜きになっていましたね。
診療放射線技師として働くために、国家試験を通過することは必須条件です。試験は例年2月にあるのですが、多くの大学生は就職先が決まって、社会に出るまで自由に過ごせる期間だと思います。そういった期間まで粘り強く勉学に励み、診療放射線技師になりたいという強い意志があることが重要になってきます。簡単ではないですが、ここで頑張ることが人生の糧になるはずです。
周りを見る力というのはとても重要だと日々感じています。患者さまをよく観察することも大事になりますし、私たちの仕事は一人ではなくチームで動いているので、いま置かれている状況を把握した上で自分に何ができるのか、困っている人がいないかなど、周りを見て行動できる人が良いのではないかと思っています。
コミュニケーション能力が高い人が向いていると思います。我々の職種は医療の中でもサービス業に近いと思っていて、医師や看護師との連携はもちろん、MRIなどの撮像ではスムーズに撮像ができるよう、患者さまに対して適切にコミュニケーションを取る必要があります。そして、自身の技術を磨くためにも、日々の業務の中で興味や疑問を持てることが望ましいですね。