2025年07月15日
2025年7月5日(土)?6日(日)、熊本市国際交流会館(熊本県熊本市)で開催された第39回日本核医学技術学会九州地方会学術大会熊本大会にて、帝京大学学生の髙木美邑さん(福岡医療技術学部4年)と仲慧竜さん(福岡医療技術学部4年)が学生奨励賞を受賞しました。
髙木さんは、同学部診療放射線学科准教授 高木昭浩の指導のもと研究を進めており、本学会で「123I-MIBG心筋シンチグラフィにおけるDynamic収集データを用いた後期HM比推定の検討」というタイトルで研究発表を行いました。
この研究は、前年度の学生研究で得られた成果を発展させ、123I-MIBG心筋シンチグラフィにおける検査の簡略化により患者の負担軽減を目的とした研究です。認知症患者などを対象とした本検査では通常、薬剤投与後に2回の画像撮影が必要とされますが、この研究では、投与直後から60分間の画像データを用いて、2回目の検査に相当する評価値を予測する手法を構築?検証しました。目的とする部位の放射能の時間的変化を解析した結果、初期の評価値が高い症例では予測値と実測値に高い相関が認められ、一定の条件下において撮像回数を1回に集約できる可能性が示されました。
本研究は、これまでの学生研究の知見を臨床的に裏付ける形で発展させたものであり、検査効率の向上と患者負担の軽減を両立できる手法として注目され、今回の受賞につながりました。
仲さんは、同学科助教 関川祐矢の指導のもと研究を進めており、本学会で「心筋血流SPECTにおける欠損サイズが画像特徴量へ与える影響の検討」というタイトルで研究発表を行いました。
この研究は、心筋虚血の診断において、SPECT装置の種類や欠損の大きさといった条件に左右されず、安定して虚血を検出できる画像特徴量の同定を目的とした研究です。撮像には、従来型および半導体型の2種類のSPECT装置を用い、模擬ファントムに設定した複数の欠損サイズのデータから、画像特徴量を抽出?解析しました。その結果、装置の種類や撮像条件にかかわらず高い検出能を示す特徴量が明らかとなり、特に微小な虚血や早期病変の検出にも有効である可能性が示されました。また、示された特徴量は安定性の高いものとされており、診断の客観化や標準化に貢献する重要な知見といえます。
本研究は、心筋SPECTにおける診断精度の向上と将来的なAI活用への展開も期待される実用的な成果として高く評価され、今回の受賞に至りました。
二人の研究成果は、今後の核医学分野の発展に大きく貢献することが期待されます。
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